ハンバーグの歴史

13世紀頃に、ロシアでタルタルステーキが作られる。
 15世紀頃に、ヨーロッパでソーセージが作られる。
 15世紀頃に、イタリアで出版された、料理人マルティーノ・デ・ロッシ著作の「料理術書」の中に、肉団子料 理 ポルペッタ(Polpetta)をポルペッテ(Polpette)として紹介している。
 16世紀頃、ロシアからドイツに、タルタルステーキが伝わる。
 17世紀頃、イタリアからドイツに、タルタルステーキを焼くレシピが伝わり、その料理は、フリカデッレ(Frikadelle)またはハックシュテーク (Hacksteak) 、ベルリンでは特別にブレッテ(Bulette)と呼ばれた。

1758年、イギリスの「The Art of Cookery Made Plain and Easy」と言うレシピ本に、ハンバーグ・ソーセージ(Hamburgh Sausage)と言う料理が載っている。この本は、1805年にアメリカでも出版された。
 同じ頃、ニューヨークとハンブルグ間に、ヨーロッパ最大の航路があり、フリカデッレがハンブルグ経由で、ニューヨークに伝わった。
 ニューヨーク港湾のレストランには、ハンブルグから来た船員のために、ハンブルグスタイルのステーキ、ハンバーグ・ステーキ(Hamburg Steak)が出されるようになった。



 1802年、オックスフォード大辞典にハンバーグ・ステーキが掲載されるが、牛挽肉と玉ネギ、パンくずで作った保存食・・・コンビーフ状の食品だった。
 シオドーラ・フィッツギボン(Theodora Fitzgibbon)の本、西洋の料理・北アメリカ、ヨーロッパ料理百科事典(The Food of the Western World - An Encyclopedia of food from North American and Europe)に、ハンバーグ・ステーキが、ニューヨーク~ハンブルグ航路の保存食であった事が書かれている。
 1844年、デビッド・A・リンカーン夫人(Mrs. David A. Lincoln)のボストン料理学校の本(The original Boston Cooking School Cook Book)に、ミートボールのソテー(Broiled Meat Cakes)と、肉を叩いて繊維質を壊して焼く、ハンバーグ・ステーキ(Hamburgh Steak)のレシピが掲載されている。
 1894年、ニューヨークの有名なステーキハウス、デルモニコのシェフ、 チャールズ・ランフォーファー(Charles Ranhofer)の書いた料理本(In the 1894 edition of the book The Epicurean: A Complete Treatise of Analytical & Practical Studies)に、牛肉と腎臓、骨髄のミンチと、みじん切りして炒めた玉ネギを加え、塩、胡椒、ナツメグを合わせたものに、表面にパンくずを付け、たっぷりのバターで色づくまで揚げる、ハンブルグ式ビーフステーキのレシピが出ている。
 チャールズは、この料理を「Bifteck a Hambourgeoise」とも呼んでいる。



アメリカでは、ハンバーガーステーキといえばソースをかけていないハンバーグステーキのことで、ソールズベリーステーキといえばソースをかけてあるハンバーグステーキのことを指すようですが、基本的にはほとんど一緒のものです。
では、なぜアメリカではこのように2つの名前が使われているのでしょうか。

 オックスフォード英語大辞典、セカンド・エディションによると、ジェームズ・ヘンリー・ソールズベリー博士(Dr.James Henry Salisbury)が、南北戦争で従軍の際、兵士の下痢対策に、消化の悪いビーフステーキではなく、より消化が良く、脂質を含まない牛肉の赤身をぶつ切りにしたステーキを考案した。
 この料理をソールズベリー博士にちなんで、ソールズベリー・ステーキ(Salisbury Steak)と呼ばれるようになった。
ソールズベリー・ステーキは、円形に平たく、または小判型に成形され焼き、ブラウンソースがかけられる。
ソールズベリー・ステーキは、ハンバーグと同一、さきがけとなる料理です。
 ソールズベリー博士は、1日3回食べるよう提唱し、これが印刷物として残されている。その後ソールズベリー・ステーキは、公立学校の給食などに作られるようになり、一般に浸透して行きます。

ソールズベリー博士が逝去してからまもなく、世界は第一次世界大戦になってしまいます。
当時アメリカは中立を保っていましたが、後になって参戦する時、戦争の相手国にドイツ がいたことから、「ハンバーガーは敵性語なので使わないようにしよう」との理由でソールズベリーステーキという名前が使われるようになったらしいです。