ハンバーグの魅力

とにかくマニアックにハンバーグの魅力を攻めてみたいと思います。

ステーキやソテーとは違う肉料理としての魅力を原材料のレベルから探っていきたいと思います。

1 挽き肉の種類と配合、仕上がりの違い。

2 牛肉、豚肉、鶏肉による違い。

3 つなぎによる違い。

4 ハンバーグの調理

  こんな感じでちょいと調べていきますね。


1 挽き肉の種類と配合、仕上がりの違い。
まず、ハンバーグのおいしさの大きな要因は肉が挽き肉ってことですね。
んで、肉を挽き肉にするとどんなメリットがあるのかちょいと考えてみましょう。

まず、肉を普通にステーキとして焼いて食べる時、その部位の単独の味を味わうわけです。
これが挽き肉となると色々な部位の肉を好みに合わせ味と口当たりを考えながら配合することができます。
単独の部位では味わえない美味しさを配合バランスを変えることで沢山生み出すことができます。

粗挽きか細挽きか…これはぶっちゃけ好み次第です。
ミンチチョッパーの径が4.8ミリだと粗挽きですね。
肉そのものの歯ざわりや噛みごたえを重視するなら粗挽きが適しています。

スパイスやつなぎとあわせて複合的な美味しさを生み出すにはミンチチョッパーの径が2.4ミリの細挽きですね。
また1度挽きより2度挽きがより滑らかな口触りになります。

味の部位による違いはそれぞれの部位ごとに違った脂肪酸構造を持っているためですね。
味の多くは脂肪酸の違いによりますので、脂肪分の多い霜降り部分やバラ肉などは旨みも多く、
淡白な赤身の部位はさっぱりした味わいです。

こうした部位を合わせることで味が良くなるし、単独で焼いたら硬くなる部位も挽くことで、適度な
脂肪分と混ぜ合わせることになりソフトで柔らかく、味わいを楽しむ事ができます。



2 牛肉、豚肉、鶏肉による違い。
牛肉、豚肉、鶏肉それぞれに味と個性がありますが、
タンパク質が殆どの部位では(脂肪分が非常に少ない部分)、味の違いがあまりありません。
牛肉、豚肉、鶏肉の違いがあってもタンパク質の部分では味の差異が少ないんですね。

しかし、タンパク質以外の部位の成分になると牛肉、豚肉、鶏肉で味が大きく変わります。
特に脂肪の多い部位では味がはっきり変わります。

つまり味の特徴は脂肪にあるということになりますね。
牛肉は融点が最も高くリノール酸が最も少ないので、食べた時の口溶け感を良くするには豚肉を加えるとよいですね。
また、焼いた時に良い風味、香りを加えたい時にも、豚肉を加えるとよいですね。
さっぱりした仕上げにしたい場合、鶏肉を加えるとよいですね。

牛脂の融点は4~50度で、口の中に入れた時脂肪が固まりネトネトした感じが出ます。
対して豚肉の融点は3~40度なので口の中でも溶けて滑らかな感じになります。
鶏肉は最も融点が低いのでかなり滑らかな感じになります。
合挽き肉にすることはこの辺をコントロールして好みの口溶け感にするということになりますね。

旨みも同様に牛肉はイノシン酸が多く、鶏肉にはグルタミン酸が多いので合い挽き肉にすると2つの旨み成分の相乗効果でより美味しく感じるわけですね。

焼いた時の香りのメカニズムはタンパク質の成分は焼いても良い香りはでませんが、脂肪分は焼くと良い香りが出ます。
これは強い加熱によって脂肪の成分である脂肪酸構造の一部が酸化することによって出る香りです。
この香りをコントロールする事も合い挽き肉の割合を調節することで可能になります。
焼いた時、牛肉は表面内部は甘いリンゴっぽい香りがします。豚肉は表面はベーコンっぽい香り、内部はチーズっぽい香りですので、どの香りをどの程度活かすかを考えつつコントロールすることになりますね。


3 つなぎによる違い。
重要な効果を与えるものはやはり玉ねぎです。
それは野菜の中で最も糖質が多く、辛みと刺激の正体である『硫化アリル』という成分が豊富に含まれているからですね。

玉ねぎのみじん切りを、じっくりアメ色になるまでソテーすると、なんと砂糖の数十倍の甘さになると言われています。
玉ねぎにはブドウ糖も含まれていて、焼く時に肉のタンパク質と反応してメラノイジンと呼ばれるこんがりしたキツネ色と香ばしい香りを持つ物質を生じるので、食欲をそそります。

ハンバーグは挽き肉を使用するのでつなぎがないとポロポロのそぼろ状になってしまいます。
そこで使われるつなぎがパン粉と鶏卵ですね。
鶏卵のつなぎとしての働きですが、これは生の状態の卵が加熱されて卵のタンパク質が凝固することで肉を接着する役割があります。また卵黄にはレンチンという乳化性の強い物質が含まれています。ハンバーグの肉も脂肪分とともに水分も含まれていますのでこれがうまく乳化すれば水分に溶けた味が油に包み込まれるためまろやかな味わいに仕上がります。

次にパン粉ですがこれは水分を保持してカサカサした状態から守る役割があります。が、使用する量は最小限にしないと肉の食感を損なってしまいますので注意が必要です。

仕上がりを肉だ!ってしたい時はつなぎを卵のみにすると良く、(すごく縮みますが…)味わいもいいです。
パン粉と鶏卵のみの場合は肉の塊といった感じになりますが、旨みが足りません。
パン粉、鶏卵、玉ねぎを使用した時が最も美味しく感じられます。



4 ハンバーグの調理
ハンバーグは挽き肉やみじん切りの玉ねぎなどの細かい粒子をまとめて焼く料理です。
なので、その粒子の間には空気の隙間が沢山あります。
加熱するとその隙間の空気が膨張してバラバラになりますのでそれを防ぐために整形する時に空気抜きしますね。

肉をこねるときにこねすぎると肉のタンパク質が結合しすぎて食感がかまぼこ状に近くなります。
ただ、そちらの方が好きという場合はしっかりこねてくださいね。

ハンバーグはこれが正解というものはなくて、挽き肉、パン粉、卵、玉ねぎ、スパイスといった材料のバランスで作られた料理であって、このバランスを守れば無限に味わいを広げることのできる料理です。

料理である以上最終的に好みの部分がありますが、このハンバーグの材料配分には黄金比率とも言うべきものがあると私は思っています。もしかしたら、それにはたどり着けないかもしれませんがそれこそが私、ドンキホー亭にとっての巨大な風車なのかもしれません。

オシマイ